目次
はじめに
1. 空き家を相続等した時の4つの選択肢
1-1. とりあえず保有
1-2. 活用
1-3. 売却
1-4. 相続放棄、相続土地国庫帰属制度
2. 空き家活用のメリット
2-1. 地域経済の活性化
2-2. 資産価値の向上
2-3. 収益の確保
2-4. 地域の魅力向上
2-5. 環境への配慮
2-6. 地域の社会的つながり強化
3. 空き家活用のデメリット
3-1. 資金と時間の投資
3-2. 地域の反対や法律的な制約
3-3. 市場需要の変動
3-4. 管理や運営の負担
3-5. 売却難易度
3-6. 環境への影響
まとめ
はじめに
はじめに、日本の空き家の現状、空き家を保有した場合のデメリット、国や自治体の空き家対策について解説します。「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律では、空き家を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態(※普通の状態)であるもの及びその敷地」と定めています。
また、居住や使用されていない期間について、国土交通省のガイドラインではおおむね1年としています。つまり、実家に誰も住まなくなり1年が経つと「空き家」になってしまうのです。
空き家の活用術は、地域の景観や社会に貢献しつつ、所有者にとっても経済的な利益をもたらす方法です。以下に、空き家を活用するためのいくつかの方法を紹介します。
1. 空き家を相続した時の4つの選択肢
空き家を相続した場合には、大きく分けて「とりあえず保有しておく」「空き家を活用して収益を得る」「売却する」という3つの選択肢があります。
1-1. とりあえず保有
相続した実家を売りたくはない、荷物も残っている、とりあえずそのままでも困らない、いつかまた、住むかもしれない、というようなケースでは空き家を保有し続けるという選択肢もあります。
ただし、空き家は持っているだけで税金や維持管理などの負担がかかります。特に人が住まない空き家は傷みも早く進み、修理費などのコストも重くのしかかってきます。
1-2. 活用
空き家の活用術は、地域の景観や経済にプラスになるだけでなく、持ち主にとっても利益をもたらす素晴らしい方法がいくつかあります。以下は、空き家を活用するためのいくつかのアイデアです。
1. 賃貸住宅:空き家を賃貸物件として活用することで、収益を得ることができます。需要がある場合は、家賃収入を得ることができるため、経済的にメリットがあります。
2. 観光宿泊施設:空き家を観光地や人気のあるエリアにある宿泊施設として改装することで、観光客に向けた収益を上げることができます。Airbnbなどのオンラインプラットフォームを利用して、短期間で収益を得ることも可能です。
3. コワーキングスペース:空き家をコワーキングスペースとして利用することで、地域のビジネスコミュニティにサービスを提供し、共有オフィススペースの需要に応えることができます。
4. 農地またはガーデン:空き家の敷地を農地として利用することで、地域の食品供給を促進したり、自給自足のガーデンを作ったりすることができます。
5. リノベーションプロジェクト:空き家をリノベーションして、モダンで快適な住宅に改装することで、新たな住宅需要に応えることができます。
6. 社会的・文化的活用:地域のコミュニティセンターやアートスペース、文化的なイベント会場などとして活用することで、地域の社会的つながりを強化し、文化的な活動を促進することができます。
7. 環境対応プロジェクト:空き家を再利用して、再生可能エネルギーの設備を導入したり、環境に配慮したプロジェクトに活用することで、持続可能な未来を築く一助となります。
8. 学生寮やシェアハウス:学生や若者向けの寮やシェアハウスとして改装することで、低コストで住宅を提供し、コミュニティを形成することができます。
9.再開発または再利用プロジェクト: 空き家の再開発プロジェクトを検討することもあります。古い建物をリノベーションして、新たな用途に活用することで、地域の魅力を高めることができます。
これらの活用術は、空き家の地域の特性や需要によって異なります。地域の法律や規制を確認し、地域住民とのコミュニケーションを大切にしながら、最適な方法を検討してください。
空き家を活用する際には、法的な要件や地域の規制に注意し、適切な許認可を取得することが重要です。また、地域コミュニティとの協力や相談も大切です。活用方法を選ぶ際に、地域の需要や資産の特性に応じて最適な方法を選びましょう。
1-3. 売却
もともと居住や活用の予定がない、売却してお金に換えたい、しばらく保有してみたけれど負担が大変などの理由で空き家を売却する人もいます。いざ売却しようとするときにあわてないためには、事前に売却価格を調べておく、土地の境界の確認をしておくなどして、売却に備えておくことが大切です。
また、空き家が地方にある場合、なかなか買い手が見つからないケースも多くありますが、お隣さんや近所の人が買ってくれるケースも少なくありません。買い手が現れない場合は、後述する相続土地国庫帰属制度の利用も検討しましょう。空き家買取業者への相談も必須です。
1-4. 相続放棄、相続土地国庫帰属制度
実家はいらないので相続放棄をしたいという話をよく耳にします。しかし、相続放棄をすると、実家だけではなくほかの遺産もすべて放棄をしなければならないため、現実的ではありません。
親の遺産は欲しいけれど実家はいらないという場合には、2023年4月27日から始まる「相続土地国庫帰属制度」が利用できるかも検討してみましょう。これはいったん不動産を相続してから、
その土地を国に引き取ってもらう制度です。
ただし、国に引き取りを承認してもらうためには、空き家を解体して更地にしなければいけません。
ほかにも多くの条件があり、さらに、引き取りが認められた場合でも、土地管理費用10年分を負担金として国に納める必要があります。
2. 空き家活用のメリット
空き家を活用することにはさまざまなメリットがあります。以下に、空き家の活用によるメリットをいくつか挙げてみます。
2-1. 地域経済の活性化
空き家を活用することで、地域の経済が活性化します。新しい事業や施設が誕生し、地域に雇用機会が増えることで、経済的な恩恵がもたらされます。
2-2. 資産価値の向上
空き家を放置すると、その建物の状態が悪化し、周辺地域の不動産価値にも悪影響を及ぼす場合があります。活用によって建物のメンテナンスが行われれば、不動産の価値が向上し、持ち主にとってもメリットとなります。
2-3. 収益の確保
空き家を賃貸物件や観光宿泊施設として活用することで、持ち主は家賃収入や宿泊料などの収益を得ることができます。これにより、不動産の保有コストを相殺することができます。
2-4. 地域の魅力向上
空き家の再利用やリノベーションによって、地域の景観や街並みが改善されます。美しく整備された建物は、地域全体の魅力を高め、観光客や新たな住民を惹きつける要因となります。
2-5. 環境への配慮
空き家を活用することで、新たな建物を建てる必要がなくなり、土地の開発や資源の使用量を抑えることができます。また、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上など、環境に配慮した活用が進められる場合もあります。
2-6. 地域の社会的つながり強化
空き家を地域のコミュニティセンターやイベント会場として活用することで、地域住民の交流が促進されます。地域コミュニティの活性化につながり、地域の社会的つながりが強化されるでしょう。
これらのメリットは、空き家を活用することで、地域や持ち主、利用者などにポジティブな影響をもたらします。ただし、活用計画を立てる際には、地域の特性やニーズを十分に考慮し、周囲の意見を聞くことが重要です。
3. 空き家活用のデメリット
空き家の活用には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも考慮する必要があります。
以下に、空き家の活用に関連する一般的なデメリットを挙げてみます。
3-1. 資金と時間の投資
空き家を活用するためには、リノベーションや改装、設備の導入などに多額の資金と時間が必要です。特に建物の状態が悪い場合は、修繕による費用がかさむこともあります。
3-2. 地域の反対や法律的な制約
地域の住民や近隣住宅所有者からの反対がある場合や、地域の規制や法律によって活用が制限される場合があります。地域社会とのコミュニケーションや法的な問題に対処する必要があります。
3-3. 市場需要の変動
活用プランを立てたものの、需要が予想よりも低かったり、変動する場合があります。空き家の活用による収益を見込んでいた場合に、需要の不安定性が懸念材料となることもあります。
3-4. 管理や運営の負担
賃貸物件や宿泊施設として活用する場合、管理や運営にかかる負担が発生します。入居者や利用者とのコミュニケーション、メンテナンス、清掃などが求められます。
3-5. 売却難易度
活用した後に、再び売却する際にマーケットの状況や需要によって売却難易度が高まることがあります。資産を再び現金化する際に損失を被る可能性も考慮する必要があります。
3-6. 環境への影響
活用プランによっては、周辺環境に与える影響を考慮する必要があります。
例えば、交通量の増加や騒音の発生などが地域の生活環境に悪影響を与えることがあります。
これらのデメリットは、空き家の活用を検討する際に留意すべき点です。計画を立てる際には、慎重にリスク評価を行い、地域のニーズや法的な制約を考慮して、最善の方法を見つけることが重要です。
まとめ
戸建て賃貸や福祉施設、新築アパート・マンションやコインランドリーなど、空き家のさまざまな活用方法について紹介をしてきました。空き家の活用の可能性については、早めに検討や準備をしておけば、いざというときに慌てなくててすみます。
空き家の活用は、収益が見込める半面リスクもあるため、専門家や専門業者に相談しながら検討することをお勧めします。
空き家の活用法に関する選択肢を増やす意味でも、複数の企業に問い合わせをご検討ください。
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