公開日:2025/12/10 更新日:2025/12/24

相続人全員が相続放棄したら空き家はどうなる?管理義務と対応策【2025年11月版】

相続放棄を選択した場合、空き家の管理義務がどうなるのか、多くの方が疑問に思うでしょう。相続人全員が相続放棄した場合の空き家の取り扱いや、管理義務、責任について解説します。空き家問題に直面した際の対応策についてもご紹介します。

目次
 相続放棄とは?基本を理解する
  相続放棄の定義と手続き
  相続放棄のメリット・デメリット
  相続放棄と単純承認・限定承認の違い
 全員が相続放棄した場合、空き家はどうなる?
  空き家の管理義務は誰が負うのか
  相続財産清算人とは?
  相続財産清算人の選任方法と費用
 空き家放置のリスクと対策
  空き家放置による損害賠償リスク
  特定空き家に指定された場合の措置
  空き家対策:売却、賃貸、寄付の検討
 相続放棄後の空き家問題解決に向けて
  相続放棄の手続きと注意点
  専門家への相談の重要性
  相続土地国庫帰属制度の活用
 まとめ:空き家問題を解決するために

相続放棄とは?基本を理解する

相続放棄の定義と手続き

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を一切受け継がないことを選択する法的な手続きです。手続きは家庭裁判所で行い、原則として相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に申し立てる必要があります。相続放棄は、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて放棄することになります。相続放棄をすることで、相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。そのため、以後の相続に関する手続きに関与する必要がなくなります。相続放棄の手続きは、まず家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。申述書には、被相続人の情報や相続放棄をする理由などを記載する必要があります。また、被相続人の戸籍謄本や住民票などの添付書類も必要となります。家庭裁判所は、申述書の内容を確認し、相続放棄の意思があるかどうかを審理します。審理の結果、相続放棄が認められると、相続放棄申述受理通知書が交付されます。この通知書が交付されることで、相続放棄の手続きは完了となります。

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄のメリットは、不要な財産や負債から解放されることです。デメリットは、プラスの財産も受け取れなくなる点です。慎重な判断が必要です。相続放棄の最大のメリットは、被相続人の残した借金や負債を相続しなくて済むことです。例えば、被相続人が多額の借金を抱えていた場合、相続放棄をすることで、その借金を支払う義務から解放されます。また、相続争いに巻き込まれる可能性も低くなります。相続放棄をすることで、他の相続人との間で遺産分割協議を行う必要がなくなり、紛争を回避することができます。一方、相続放棄のデメリットは、プラスの財産も受け取れなくなることです。例えば、被相続人が預金や不動産などの財産を残していた場合でも、相続放棄をすると、これらの財産を受け取ることができなくなります。また、相続放棄は原則として撤回することができません。そのため、後になってプラスの財産が見つかったとしても、相続放棄を取り消して財産を受け取ることはできません。

相続放棄と単純承認・限定承認の違い

相続の方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3つがあります。単純承認はすべての財産を受け継ぐこと、限定承認はプラスの財産の範囲内で負債を受け継ぐことです。相続放棄は一切の財産を放棄します。単純承認は、被相続人の財産をすべて受け継ぐ方法です。プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。限定承認は、相続によって得たプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を弁済する方法です。もし、プラスの財産がマイナスの財産よりも少なかった場合、相続人は自分の財産から弁済する必要はありません。相続放棄は、被相続人の財産を一切受け継がない方法です。プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄することになります。どの方法を選択するかは、被相続人の財産状況や相続人の状況によって異なります。例えば、被相続人の財産状況が不明な場合は、限定承認を検討するのが賢明かもしれません。また、被相続人が多額の借金を抱えていた場合は、相続放棄を選択するのが一般的です。

全員が相続放棄した場合、空き家はどうなる?

空き家の管理義務は誰が負うのか

相続人全員が相続放棄した場合、原則として、空き家の管理義務は、最終的に相続財産清算人が選任されるまで、相続放棄した相続人に残ります。ただし、2023年4月の法改正により、管理義務の範囲は「現に占有している」者に限定されました。この法改正により、相続放棄した相続人の負担は軽減されましたが、依然として注意が必要です。相続放棄した相続人は、相続財産清算人が選任されるまでの間、空き家を適切に管理する義務があります。具体的には、建物の倒壊を防ぐために定期的に点検を行ったり、不審者の侵入を防ぐために施錠を徹底したりする必要があります。また、近隣住民に迷惑をかけないように、雑草の除去や害虫駆除なども行う必要があります。もし、これらの管理義務を怠った場合、損害賠償責任を負う可能性があります。例えば、空き家が倒壊して近隣の建物に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければなりません。

相続財産清算人とは?

相続財産清算人は、家庭裁判所によって選任され、相続財産の管理、清算、換価などを行う専門家です。相続財産清算人が選任されることで、相続放棄した相続人の管理義務はなくなります。相続財産清算人は、相続人の不存在が確定した場合や、相続人全員が相続放棄した場合などに選任されます。相続財産清算人の主な役割は、相続財産の管理と清算です。具体的には、相続財産の目録を作成したり、財産を売却して現金化したり、債権者に弁済したりします。また、相続財産清算人は、相続財産の中から、被相続人の債務を支払う必要があります。例えば、被相続人が借金を抱えていた場合、相続財産清算人は、財産を売却して得たお金で借金を返済します。もし、債務をすべて支払っても財産が残った場合は、残った財産は国庫に帰属します。相続財産清算人は、弁護士や司法書士などの専門家が選任されることが一般的です。

相続財産清算人の選任方法と費用

相続財産清算人の選任は、利害関係者(債権者など)が家庭裁判所に申し立てます。選任には予納金が必要で、数十万円から100万円程度かかる場合があります。相続財産清算人の選任を申し立てることができるのは、債権者や特別縁故者などの利害関係者です。債権者とは、被相続人にお金を貸していた人や、被相続人に対して債権を持っている人のことです。特別縁故者とは、被相続人と特別な関係にあった人のことで、例えば、被相続人の介護をしていた人や、被相続人と生計を同じくしていた人などが該当します。相続財産清算人の選任を申し立てる際には、家庭裁判所に予納金を納める必要があります。予納金の額は、相続財産の規模や事案の複雑さによって異なりますが、数十万円から100万円程度かかるのが一般的です。予納金は、相続財産清算人の報酬や、相続財産の管理・清算にかかる費用に充当されます。もし、相続財産の中から予納金を支払うことができない場合は、申立人が予納金を立て替える必要があります。

空き家放置のリスクと対策

空き家放置による損害賠償リスク

空き家を放置すると、倒壊や不審者の侵入、衛生問題などが発生する可能性があります。これらが原因で第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性があります。空き家を放置することで発生するリスクは多岐にわたります。まず、建物の老朽化が進み、倒壊の危険性が高まります。倒壊した建物が通行人や近隣の建物に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負うことになります。また、空き家は不審者の侵入を招きやすく、放火や不法投棄などの犯罪の温床となる可能性があります。さらに、空き家は衛生状態が悪化しやすく、悪臭や害虫の発生源となることがあります。これらの問題は、近隣住民の生活環境を悪化させるだけでなく、健康被害を引き起こす可能性もあります。空き家を放置することは、所有者にとって大きなリスクとなるだけでなく、地域社会全体にとっても大きな問題となります。

特定空き家に指定された場合の措置

空き家が特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるだけでなく、行政による指導や命令、最終的には強制的な解体(代執行)が行われる場合があります。特定空き家とは、空き家対策特別措置法に基づいて、市町村長が指定する、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性のある空き家のことです。特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍になることがあります。また、市町村長は、特定空き家の所有者に対して、修繕や撤去などの必要な措置を講じるように指導や命令をすることができます。もし、命令に従わない場合、市町村長は、所有者に代わって空き家を解体する(代執行)ことができます。代執行にかかる費用は、最終的に所有者が負担することになります。特定空き家に指定されると、所有者にとって大きな負担となるため、空き家を放置せずに、適切な管理を行うことが重要です。

空き家対策:売却、賃貸、寄付の検討

空き家の有効活用を検討しましょう。売却、賃貸、または自治体やNPO法人への寄付などが考えられます。税理士法人チェスターのような専門家への相談も有効です。空き家の有効活用方法は、所有者の状況や空き家の状態によって異なります。もし、空き家を管理する時間や費用がない場合は、売却を検討するのが一般的です。売却することで、空き家の管理から解放されるだけでなく、売却代金を得ることができます。また、空き家を賃貸に出すことで、家賃収入を得ることができます。ただし、賃貸に出すためには、空き家をリフォームしたり、管理会社に委託したりする必要がある場合があります。さらに、空き家を自治体やNPO法人に寄付するという選択肢もあります。寄付することで、空き家が地域社会の活性化に役立つ可能性があります。どの方法を選択するかは、専門家と相談しながら慎重に検討することが重要です。

相続放棄後の空き家問題解決に向けて

相続放棄の手続きと注意点

相続放棄は、原則として相続開始を知ってから3ヶ月以内に行う必要があります。期限を過ぎると相続を承認したとみなされるため、注意が必要です。相続放棄の手続きは、家庭裁判所で行います。まず、相続放棄の申述書を作成し、必要な書類を添付して家庭裁判所に提出します。申述書には、被相続人の情報や相続放棄をする理由などを記載する必要があります。必要な書類は、被相続人の戸籍謄本や住民票、相続人の戸籍謄本などです。家庭裁判所は、申述書の内容を確認し、相続放棄の意思があるかどうかを審理します。審理の結果、相続放棄が認められると、相続放棄申述受理通知書が交付されます。相続放棄は、原則として撤回することができません。そのため、相続放棄をするかどうかは、慎重に判断する必要があります。もし、期限内に相続放棄をするかどうかを判断できない場合は、家庭裁判所に相続放棄の熟慮期間の延長を申し立てることができます。

専門家への相談の重要性

相続放棄や空き家問題は複雑な法的問題が絡むため、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。相続会議などの情報サイトも参考になります。相続放棄や空き家問題は、法律や税金に関する専門的な知識が必要となるため、一般の方が自分だけで解決するのは難しい場合があります。弁護士に相談することで、法的な問題点を明確にし、適切なアドバイスを受けることができます。また、税理士に相談することで、相続税や固定資産税などの税金に関する問題を解決することができます。相続会議などの情報サイトでは、相続放棄や空き家問題に関する情報が掲載されており、参考になることがあります。専門家に相談することで、時間や労力を節約できるだけでなく、法的なリスクを回避することができます。相続放棄や空き家問題でお困りの場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

相続土地国庫帰属制度の活用

一定の要件を満たす土地であれば、相続土地国庫帰属制度を利用して国に土地を返納することができます。これにより、管理責任から解放されます。相続土地国庫帰属制度とは、相続または遺贈によって取得した土地を、一定の要件を満たす場合に、国に返納することができる制度です。この制度を利用することで、土地の管理責任から解放されることができます。ただし、相続土地国庫帰属制度を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。例えば、土地に建物が建っていないことや、土地に担保権が設定されていないことなどが要件となっています。また、土地の性質や形状によっても、国に返納できるかどうかが判断されます。相続土地国庫帰属制度を利用する際には、法務局に申請する必要があります。法務局は、申請された土地が要件を満たしているかどうかを審査し、審査の結果、要件を満たしていると判断された場合は、国に土地が帰属されます。

まとめ:空き家問題を解決するために

相続放棄後の空き家問題は、法改正によって管理義務が明確化されたものの、依然として複雑な問題です。専門家への相談や情報収集を行い、適切な対応策を検討しましょう。相続放棄後の空き家問題は、相続人全員が相続放棄をした場合に発生する問題であり、その解決には様々な法的、経済的な側面からの検討が必要です。法改正により、相続放棄した相続人の管理義務が限定されたものの、相続財産清算人の選任や空き家の管理には、依然として費用や手間がかかります。空き家の放置は、倒壊や不審者の侵入、衛生問題など、様々なリスクを伴います。そのため、空き家の所有者は、適切な管理を行う必要があります。空き家の管理方法としては、売却、賃貸、寄付などがあります。どの方法を選択するかは、空き家の状態や所有者の状況によって異なります。空き家問題でお困りの場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、法的なアドバイスや税金に関するアドバイスを提供し、最適な解決策を見つけるお手伝いをします。

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