相続した空き家の処分、特に相続人が複数いる場合は、誰の同意が必要になるのでしょうか?この記事では、空き家処分の同意権者、必要な手続き、注意点、活用方法まで詳しく解説します。アディーレ法律事務所の弁護士監修のもと、スムーズな空き家処分を実現しましょう。
目次
空き家処分の基本:相続人全員の同意は必須?
共有財産としての空き家の扱い
共有状態での意思決定の難しさ
例外:単独でできること・できないこと
相続放棄と空き家:管理義務はどうなる?
相続放棄した場合の空き家の扱い
管理義務を怠った場合のリスク
相続財産清算人の選任
遺産分割協議で空き家をスムーズに処分する方法
遺産分割協議とは
遺産分割協議の進め方
弁護士への相談のすすめ
空き家の解体:登記や費用の注意点
解体前の登記の確認
解体費用の負担者
解体後の滅失登記
空き家処分のまとめ:専門家への相談も検討しよう
空き家処分の基本:相続人全員の同意は必須?
共有財産としての空き家の扱い
相続が発生すると、空き家は法律上、相続人全員の共有財産という扱いになります。これは、不動産に限らず、預貯金や有価証券などの他の遺産についても同様です。共有財産である以上、空き家の処分、例えば売却や賃貸、あるいは解体といった行為を行うには、原則として相続人全員の同意が不可欠となります。この同意は、口頭だけでなく、書面による明確な合意が望ましいとされています。
相続人の中には、空き家の利用や処分について様々な考えを持つ人がいるかもしれません。例えば、一人は売却を希望し、別の人は賃貸に出すことを考えている、というように意見が分かれることはよくあります。このような場合、相続人全員が納得できる結論を導き出すためには、十分な話し合いが必要となります。相続人間でのコミュニケーションを密にし、それぞれの意向を尊重しながら、最適な解決策を探っていくことが大切です。空き家を放置することは、様々なリスクを伴うため、早めに処分方法を決定することが望ましいでしょう。
共有状態での意思決定の難しさ
空き家が相続人全員の共有状態にある場合、その処分に関する意思決定は、時に非常に困難なものとなることがあります。相続人の数が多いほど、意見がまとまりにくくなる傾向があります。例えば、ある相続人は空き家を売却して現金化したいと考えているかもしれませんが、別の相続人は思い出が詰まった家を手放したくない、あるいは将来的に利用する可能性があると考えて売却に反対するかもしれません。
さらに、相続人の中には、遠方に住んでいて連絡が取りづらい人や、認知症などで意思疎通が難しい人がいる場合もあります。このような状況では、相続人全員の同意を得ることが非常に難しくなります。また、相続人間で感情的な対立がある場合、話し合いがスムーズに進まないこともあります。遺産分割協議が紛糾し、長期化してしまうケースも少なくありません。このような状況を打開するためには、専門家である弁護士や不動産鑑定士などの助けを借りることも検討すべきでしょう。専門家は、法的な知識や客観的な視点から、解決策を提案してくれます。
例外:単独でできること・できないこと
相続した空き家が共有状態にある場合でも、全ての行為に相続人全員の同意が必要となるわけではありません。空き家の維持管理に関する行為、例えば庭の草刈りや、建物の清掃、軽微な修繕などは、各相続人が単独で行うことができます。これは、共有財産である空き家の価値を維持するために必要な行為とみなされるためです。しかし、空き家の価値を大きく変動させるような行為、例えば大規模なリフォームや建て替え、あるいは空き家を処分する行為、例えば売却や解体などを行う場合には、相続人全員の同意が必ず必要となります。 一部の相続人が、他の相続人の同意を得ずにこれらの行為を行った場合、その行為は無効となる可能性があります。また、他の相続人から損害賠償を請求される可能性もあります。したがって、空き家の処分や活用を検討する際には、必ず事前に相続人全員で十分に話し合い、合意を得ることが重要です。もし、相続人間で意見がまとまらない場合は、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
相続放棄と空き家:管理義務はどうなる?
相続放棄した場合の空き家の扱い
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を一切相続しないという法的な手続きです。相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。つまり、プラスの財産(預貯金や不動産など)も、マイナスの財産(借金など)も、一切引き継がないことになります。しかし、相続放棄をしたからといって、すぐに空き家の管理義務から完全に解放されるわけではありません。民法第940条には、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定められています。
つまり、次の相続人が決まるまで、あるいは相続財産清算人が選任されるまでの間は、相続放棄をした人も、空き家を管理する義務を負う場合があるということです。これは、空き家が放置されることによって、近隣住民に迷惑をかけたり、損害を与えたりするのを防ぐための措置です。
管理義務を怠った場合のリスク
相続放棄後の空き家に対する管理義務を怠った場合、様々なリスクが生じる可能性があります。例えば、空き家の老朽化が進み、屋根瓦が落下したり、外壁が崩れ落ちたりして、通行人に怪我をさせてしまうかもしれません。また、空き家に不審者が侵入し、放火などによって火災が発生し、近隣の住宅に延焼してしまう可能性もあります。このような場合、管理義務を怠った相続放棄者は、損害賠償責任を負う可能性があります。損害賠償の金額は、怪我の治療費や、建物の修理費用など、多額になることもあります。
さらに、空き家が特定空き家に指定された場合、行政から改善命令が出されることがあります。改善命令に従わない場合、行政代執行によって強制的に解体されることもあり、その費用は所有者に請求されます。相続放棄をしたからといって、空き家を放置することは決して許されません。相続放棄後も、空き家の状況には常に注意を払い、適切な管理を行う必要があります。定期的に空き家を点検し、必要に応じて修繕を行うなどの対策を講じることが重要です。
相続財産清算人の選任
相続放棄をした後、空き家の管理が困難な場合や、管理義務を負いたくない場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てるという方法があります。相続財産清算人とは、相続財産の管理・清算を行うために、家庭裁判所が選任する専門家(弁護士や司法書士など)のことです。相続財産清算人が選任されると、空き家の管理・処分は相続財産清算人が行うことになり、相続放棄をした人は、空き家の管理義務から解放されます。
相続財産清算人の選任申し立ては、相続放棄をした人が行うことができます。申し立ての際には、戸籍謄本や住民票などの必要書類を提出する必要があります。また、相続財産清算人の報酬を支払うための予納金が必要となる場合があります。相続財産清算人の選任には、一定の費用と時間がかかりますが、空き家の管理に関する負担を軽減できるというメリットがあります。空き家の管理に困っている場合は、相続財産清算人の選任を検討してみるのも良いでしょう。
遺産分割協議で空き家をスムーズに処分する方法
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、相続が発生した際に、相続人全員が参加して、遺産をどのように分割するかを話し合う手続きのことです。相続人全員の合意によって、遺産の分け方を自由に決めることができます。遺産分割協議は、相続手続きの中でも非常に重要なステップであり、その結果が、相続人全員の権利や義務に大きく影響します。空き家の処分方法についても、遺産分割協議で決定することができます。例えば、誰か一人の相続人が空き家を相続する、相続人全員で共有する、売却して代金を分割する、などの方法が考えられます。
遺産分割協議は、必ずしも書面で行う必要はありませんが、後々のトラブルを避けるために、遺産分割協議書を作成することが一般的です。遺産分割協議書には、誰がどの遺産を相続するか、空き家をどのように処分するかなどを明確に記載します。遺産分割協議書は、相続人全員が署名・捺印することで、正式な合意書となります。遺産分割協議が成立すると、その内容に基づいて、相続手続きを進めることになります。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議を進めるにあたっては、まず、相続人全員が参加する必要があります。相続人の一部が欠けている場合、遺産分割協議は無効となる可能性があります。相続人の中に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう必要があります。次に、相続財産の調査を行います。預貯金、不動産、有価証券など、被相続人が所有していた全ての財産を把握する必要があります。空き家の評価額も、この時点で算出します。不動産鑑定士に依頼して、正確な評価額を算出してもらうことが望ましいでしょう。
相続財産の調査が終わったら、各相続人の希望や事情を考慮しながら、分割案を検討します。例えば、空き家を相続したい人がいる場合は、その人の相続分を多くする代わりに、他の財産の相続分を少なくする、などの調整が必要になるかもしれません。相続人全員が納得できる分割案を作成するためには、十分な話し合いが必要です。相続人同士で感情的な対立がある場合は、第三者である弁護士などに仲介を依頼することも検討しましょう。
弁護士への相談のすすめ
遺産分割協議は、相続人間で感情的な対立が生じやすく、当事者間だけではなかなかスムーズに進まないことがあります。特に、空き家の処分方法については、意見が対立することが多く、協議が長期化する原因となることがあります。このような場合、弁護士に相談することで、法的なアドバイスを受けたり、交渉を代行してもらったりすることができます。弁護士は、相続に関する法律や判例に精通しており、各相続人の権利を保護しながら、公平な解決策を提案してくれます。
また、弁護士は、遺産分割協議書の作成も代行してくれます。遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を明確に記載した重要な書類であり、後々のトラブルを避けるためにも、正確に作成する必要があります。アディーレ法律事務所など、相続問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。初回相談無料の法律事務所も多いので、まずは気軽に相談してみると良いでしょう。弁護士に相談することで、遺産分割協議に関する不安や疑問を解消し、スムーズな相続手続きを進めることができます。
空き家の解体:登記や費用の注意点
解体前の登記の確認
空き家を解体する際には、解体工事に着手する前に、必ず建物の登記状況を確認する必要があります。登記とは、不動産の所在地や所有者などの情報を、法務局に登録することです。建物の登記状況は、法務局で登記事項証明書を取得することで確認できます。もし、相続登記が済んでいない場合は、解体前に相続登記を済ませる必要があります。相続登記とは、被相続人(亡くなった人)の名義から、相続人の名義に、不動産の所有者を変更する手続きのことです。
相続登記を行わずに建物を解体してしまうと、後々、建物の滅失登記(建物を解体したことを法務局に登録する手続き)ができなくなる可能性があります。また、抵当権などが設定されている場合は、抵当権抹消の手続きも必要になります。抵当権とは、金融機関などが、融資の担保として不動産に設定する権利のことです。抵当権が設定されたまま建物を解体してしまうと、後々、金融機関との間でトラブルになる可能性があります。登記状況の確認や、相続登記、抵当権抹消の手続きは、司法書士に依頼することができます。
解体費用の負担者
空き家の解体費用は、原則として、空き家の所有者、つまり相続人全員で負担します。しかし、遺産分割協議で、誰が解体費用を負担するかを具体的に決定することも可能です。例えば、空き家を相続する人が、解体費用も負担する、あるいは、相続人全員で均等に負担する、などの取り決めができます。遺産分割協議で解体費用の負担者を決める際には、各相続人の経済状況や、相続分などを考慮して、公平な負担割合を決めることが重要です。
また、自治体によっては、空き家の解体費用を補助する制度があります。例えば、老朽化した危険な空き家を解体する場合や、地域の景観を損ねる空き家を解体する場合などに、補助金が支給されることがあります。補助金の金額や条件は、自治体によって異なりますので、事前に確認してみましょう。補助金を利用することで、解体費用の負担を軽減することができます。解体費用の見積もりを複数の業者から取得し、費用を比較検討することも大切です。
解体後の滅失登記
空き家を解体した後、1か月以内に滅失登記を行う必要があります。滅失登記とは、建物がなくなったことを法務局に登録する手続きのことです。滅失登記を行わないと、固定資産税が課税され続けることがあります。固定資産税は、毎年1月1日時点の建物の所有者に対して課税される税金です。建物を解体しても、滅失登記を行わない限り、法務局の記録上は建物が存在することになっているため、固定資産税が課税され続けてしまうのです。
滅失登記は、建物の所有者自身で行うこともできますが、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の専門家であり、滅失登記に必要な書類の作成や、法務局への申請手続きを代行してくれます。土地家屋調査士に依頼することで、手続きの煩雑さを軽減し、確実に滅失登記を行うことができます。滅失登記の費用は、土地家屋調査士への報酬と、登録免許税(非課税)がかかります。
空き家処分のまとめ:専門家への相談も検討しよう
空き家の処分は、相続人の同意、相続放棄、遺産分割協議、解体など、様々な手続きが必要となる複雑な問題です。これらの手続きは、専門的な知識が必要となる場合が多く、相続人間で意見が対立することもあります。特に、相続人が複数いる場合は、全員の同意を得ることが難しく、手続きが滞ってしまうことも少なくありません。弁護士や税理士などの専門家に相談することで、法的なアドバイスを受けたり、税金に関する問題を解決したりすることができます。
また、不動産業者に相談することで、空き家の売却や賃貸に関する情報を得ることができます。アディーレ法律事務所のような専門機関への相談も検討しましょう。専門家は、それぞれの専門分野の知識や経験に基づいて、最適な解決策を提案してくれます。空き家の処分に困っている場合は、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。専門家への相談は、スムーズな空き家処分を実現するための第一歩となるでしょう。

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