違法建築物件の売却は、通常の不動産売却とは異なる注意点があります。この記事では、違法建築とは何か、売却の際の注意点、売却方法について詳しく解説します。永大ハウス工業などの専門家の意見も参考に、スムーズな売却を目指しましょう。
目次
違法建築とは?基礎知識と確認方法
違法建築の定義と種類
既存不適格との違い
自宅が違法建築か確認する方法
違法建築物件の売却は可能?
売却の可否と注意点
更地にするという選択肢
買取業者への売却
売却時の注意点
告知義務の徹底
再建築不可のリスク
住宅ローンの利用不可
売却を成功させるための戦略
専門家への相談
複数の業者に査定を依頼
インスペクションの実施
まとめ
違法建築とは?基礎知識と確認方法
違法建築の定義と種類
違法建築とは、建築基準法や関連法規に違反して建てられた建物のことを指します。
これは、建築確認申請の内容と異なる建築が行われたり、そもそも建築確認を受けずに建てられた建物などが該当します。
具体的には、建ぺい率や容積率の制限を超過している、高さ制限や斜線制限に違反している、防火に関する規定を満たしていないなどのケースが考えられます。
これらの違反は、建物の安全性や都市計画の観点から問題視され、是正の対象となります。
違法建築には、様々な種類があり、その程度も様々です。 軽微な違反から重大な違反まで、ケースバイケースで対応が異なります。例えば、ベランダを増築した結果、建ぺい率がわずかに超過してしまったというケースもあれば、構造耐力に関わる重要な部分が建築基準法に適合していないというケースもあります。
これらの違いを理解し、ご自身の物件がどのような状態にあるのかを正確に把握することが、売却を検討する上で非常に重要になります。違法建築の種類によっては、売却が困難になる場合や、売却価格が大幅に下落する可能性もあります。
既存不適格との違い
既存不適格とは、建築当時は適法に建てられたものの、その後の法改正や都市計画の変更などによって、現行の建築基準法に適合しなくなった建物のことを指します。
これは、違法建築とは根本的に異なる概念であり、注意が必要です。 既存不適格は、過去の法規に基づいて適法に建てられたため、違法性はありません。
したがって、直ちに改修や建て替えを強制されることはありません。
しかし、増改築を行う際には、現行法に適合させる必要があり、場合によっては大規模な改修が必要になることもあります。
既存不適格の建物であっても、売却自体は可能です。
ただし、買主に対して、既存不適格であることを告知する義務があります。
買主は、その点を理解した上で購入を検討することになります。
既存不適格の建物は、将来的な建て替えや改修の際に制約を受ける可能性があるため、売却価格が相場よりも若干低くなる傾向があります。
しかし、違法建築のように、売却が著しく困難になるということはありません。既存不適格であることを適切に告知し、買主の理解を得ることが重要です。
自宅が違法建築か確認する方法
ご自宅が違法建築であるかどうかを確認する方法はいくつか存在します。
まず、建築確認済証と検査済証を確認することが重要です。
これらの書類は、建物が建築基準法に基づいて建てられたことを証明するものであり、建築時の図面や仕様書も添付されています。
これらの書類を確認することで、建築時の計画と実際の建物が一致しているかどうかを比較することができます。
次に、増築部分が登記されているかどうかを確認することも重要です。
もし、登記されていない増築部分がある場合、それは違法建築である可能性があります。
また、専門家(建築士や不動産鑑定士)に依頼して、建物の状況を調査してもらうという方法もあります。
専門家は、建築基準法や関連法規に精通しており、建物の図面や現地調査に基づいて、違法建築であるかどうかを判断することができます。
専門家による調査は費用がかかりますが、正確な情報を得ることができます。
これらの方法を組み合わせることで、ご自宅が違法建築であるかどうかを、より正確に判断することができます。
もし、違法建築であることが判明した場合は、専門家と相談しながら、適切な対応を検討する必要があります。
違法建築物件の売却は可能?
売却の可否と注意点
違法建築物件であっても、売却自体は不可能ではありません。
しかし、通常の物件と比較すると、売却の難易度は格段に高くなります。
なぜなら、買主は違法建築であるというリスクを承知で購入する必要があるからです。
違法建築物件を売却する際には、買主に対して、必ず違法建築であることを告知する義務があります。
この告知義務を怠ると、後々、契約不適合責任を問われる可能性があります。
また、違法建築物件は、住宅ローンを利用することが難しい場合があります。
そのため、買主は現金で購入する必要があり、購入層が限られてしまいます。
これらの理由から、違法建築物件の売却価格は、相場よりも安くなる傾向があります。
売却を検討する際には、これらの注意点を十分に理解しておく必要があります。
ただし、違法建築の状態によっては、売却が極めて困難になる場合もあります。
例えば、構造耐力に関わる重大な違反がある場合や、再建築が不可能な場合は、売却が難しくなる可能性があります。
これらの場合は、専門家と相談しながら、慎重に売却戦略を検討する必要があります。
更地にするという選択肢
違法建築物件を売却する方法の一つとして、建物を解体して更地にするという選択肢があります。
更地にすることで、違法建築の問題は解消され、土地として売却することができます。
更地であれば、買主は自由に建物を建てることができるため、違法建築物件として売却するよりも、買い手がつきやすくなる可能性があります。
しかし、建物を解体するには、解体費用がかかります。
解体費用は、建物の構造や規模、立地条件などによって異なりますが、一般的には数百万円程度の費用がかかります。
また、解体後には、土地の整地費用もかかる場合があります。
したがって、更地にして売却する場合は、解体費用と整地費用を考慮した上で、費用対効果を検討する必要があります。
もし、解体費用が高額になる場合は、違法建築のまま売却する方が有利な場合もあります。
更地にして売却する場合は、事前に複数の解体業者に見積もりを依頼し、最も安い業者を選ぶことが重要です。
また、解体工事を行う際には、近隣住民への配慮も忘れずに行う必要があります。騒音や振動などによって、近隣住民に迷惑をかけることのないように、注意する必要があります。
買取業者への売却
違法建築物件を売却するもう一つの方法として、専門の買取業者に買い取ってもらうという選択肢があります。
買取業者は、違法建築物件や再建築不可物件など、一般の不動産業者が扱いにくい物件を専門に買い取っています。
買取業者に売却するメリットは、仲介業者に依頼するよりも、スムーズに売却できる可能性があるということです。
買取業者は、自社で買い取るため、買主を探す必要がありません。
また、買取業者は、違法建築の状態を考慮した上で、買取価格を提示してくれます。
しかし、買取価格は、仲介業者を通じて売却するよりも、安くなる傾向があります。
買取業者は、買い取った物件をリフォームしたり、解体して更地にしたりして、再販することで利益を得ています。
そのため、買取価格は、どうしても安くなってしまいます。
買取業者に売却する場合は、複数の業者に見積もりを依頼し、最も高い価格を提示してくれた業者を選ぶことが重要です。
また、買取業者の中には、悪質な業者も存在します。
相場とかけ離れた安い価格を提示してきたり、強引な契約を迫ってきたりする業者には、注意が必要です。
契約する前に、業者の評判や実績をよく調べておくことが重要です。
売却時の注意点
告知義務の徹底
違法建築物件を売却する際に、最も重要な注意点は、買主に対して、違法建築であることを必ず告知するということです。
これは、宅地建物取引業法で定められた義務であり、告知を怠ると、契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任とは、売買契約の内容に適合しないものが引き渡された場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
もし、告知を怠った場合、買主から損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりする可能性があります。
告知は、口頭だけでなく、書面でも行うことが重要です。
売買契約書に、違法建築であること、その内容、是正命令の有無などを明記する必要があります。
また、重要事項説明書にも、同様の内容を記載する必要があります。
告知する際には、曖昧な表現を避け、具体的に、どのような点が違法建築であるのかを説明することが重要です。
例えば、「建ぺい率が超過している」「容積率が超過している」「斜線制限に違反している」など、具体的に違反の内容を説明する必要があります。
もし、是正命令が出ている場合は、その旨も告知する必要があります。 告知義務を徹底することで、後々のトラブルを避けることができます。
再建築不可のリスク
違法建築物件の中には、再建築不可の物件も存在します。
再建築不可とは、建物を解体した場合、同じ場所に建物を建てることができないという制限のことです。
再建築不可となる理由は様々ですが、主な理由としては、接道義務を満たしていない、都市計画法や建築基準法上の制限があるなどが挙げられます。
接道義務とは、建物が建つ土地が、幅4m以上の道路に2m以上接している必要があるという規定です。
もし、接道義務を満たしていない場合、建物を建て替えることができません。
再建築不可の物件は、建て替えができないため、土地の利用価値が著しく低下します。
そのため、売却価格も大幅に下がる可能性があります。
再建築不可の物件を売却する場合は、その旨を買主に告知する必要があります。 告知を怠ると、後々、契約不適合責任を問われる可能性があります。
再建築不可の物件は、売却が難しいため、専門の買取業者に買い取ってもらうという選択肢もあります。
買取業者は、再建築不可の物件を専門に扱っており、一般の不動産業者よりも、高めの価格で買い取ってくれる可能性があります。
住宅ローンの利用不可
違法建築物件を購入する場合、買主は住宅ローンを利用することが難しい場合があります。 金融機関は、担保となる建物の価値を評価して、融資の可否を判断します。
違法建築物件は、建築基準法に違反しているため、金融機関からの評価が低くなります。 そのため、住宅ローンの審査に通らない可能性が高くなります。
もし、住宅ローンを利用できない場合、買主は現金で購入する必要があります。
現金で購入できる買主は限られているため、売却の難易度は高くなります。
ただし、一部の金融機関では、違法建築の状態を是正することを条件に、住宅ローンを融資してくれる場合があります。
例えば、建ぺい率や容積率の超過を是正したり、防火に関する規定を満たすように改修したりすることで、住宅ローンの審査に通る可能性があります。
住宅ローンの利用を希望する場合は、事前に金融機関に相談し、どのような条件を満たせば融資を受けられるかを確認しておくことが重要です。
また、リフォームローンを利用して、違法建築の状態を是正するという方法もあります。
売却を成功させるための戦略
専門家への相談
違法建築物件の売却を成功させるためには、専門家への相談が不可欠です。 弁護士、不動産鑑定士、建築士など、それぞれの専門家が持つ知識や経験は、売却戦略を立てる上で非常に役立ちます。
弁護士は、売買契約に関する法的なアドバイスを提供してくれます。
告知義務の内容や、契約不適合責任のリスクなどについて、詳しく説明してくれます。 不動産鑑定士は、物件の適正な価格を評価してくれます。
違法建築の状態を考慮した上で、市場価格を算出してくれます。
建築士は、建物の構造や安全性について調査してくれます。 違法建築の状態が、建物の安全性にどのような影響を与えているかを評価してくれます。
これらの専門家に相談することで、売却におけるリスクを最小限に抑え、より有利な条件で売却することができます。
専門家への相談は費用がかかりますが、売却を成功させるための必要経費と考えるべきです。
また、複数の専門家に相談することで、より客観的な意見を得ることができます。それぞれの専門家の意見を比較検討することで、最適な売却戦略を見つけることができます。
複数の業者に査定を依頼
違法建築物件を売却する際には、複数の不動産業者や買取業者に査定を依頼することが重要です。
複数の業者に査定を依頼することで、物件の適正な価格を把握することができます。
また、業者によって、得意とする物件の種類や、販売戦略が異なります。
複数の業者から提案を受けることで、より自分に合った業者を選ぶことができます。
査定を依頼する際には、物件の情報を正確に伝えることが重要です。
違法建築であること、その内容、是正命令の有無などを、包み隠さず伝える必要があります。
情報を隠して査定を依頼すると、後々、トラブルになる可能性があります。
査定結果を比較検討する際には、価格だけでなく、業者の対応や、販売戦略なども考慮することが重要です。
価格が高くても、対応が悪い業者や、販売戦略が不明確な業者には、注意が必要です。
複数の業者と面談し、信頼できる業者を選ぶことが、売却を成功させるための重要なポイントです。
また、査定を依頼する際には、事前に必要な書類を準備しておくことで、スムーズに査定を進めることができます。
必要な書類としては、登記簿謄本、公図、測量図、建築確認済証、検査済証などがあります。
インスペクションの実施
違法建築物件の売却を検討する際には、事前にインスペクション(建物状況調査)を実施することを強くお勧めします。
インスペクションとは、建築士などの専門家が、建物の劣化状況や不具合の有無を調査するものです。
インスペクションを実施することで、売主は、建物の状態を正確に把握することができます。
また、買主は、安心して物件を購入することができます。
インスペクションの結果は、報告書としてまとめられ、売買契約の際に、買主に開示されます。
インスペクションの結果、重大な不具合が見つかった場合は、売却価格を調整したり、補修を行ったりする必要があります。
インスペクションを実施することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
インスペクションの費用は、物件の規模や構造によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度です。
インスペクションは、売主の義務ではありませんが、実施することで、売却の可能性を高めることができます。
また、インスペクションを実施することで、買主からの信頼を得ることができ、より有利な条件で売却できる可能性があります。
インスペクションを実施する際には、複数の業者に見積もりを依頼し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
まとめ
違法建築物件の売却は、確かに通常の物件と比べて難易度が高いと言えます。
しかし、適切な知識と戦略を持って臨めば、決して不可能ではありません。
重要なのは、まずご自身の物件がどのような違法状態にあるのかを正確に把握することです。
専門家(建築士、不動産鑑定士、弁護士など)に相談し、客観的な評価を得ることが第一歩となります。
次に、複数の不動産業者や買取業者に査定を依頼し、それぞれの提案を比較検討しましょう。
価格だけでなく、担当者の対応や、販売戦略なども考慮して、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
売却活動においては、違法建築であることを正直に告知し、買主の不安を解消することが重要です。
インスペクション(建物状況調査)を実施し、建物の状態を明確にすることも有効な手段です。
場合によっては、建物を解体して更地として売却する、専門の買取業者に買い取ってもらうといった選択肢も検討しましょう。
違法建築物件の売却は、時間と労力がかかるかもしれませんが、諦めずに取り組むことで、必ず道は開けます。
専門家のサポートを受けながら、納得のいく売却を目指しましょう。
そして、今回の記事が、皆様の違法建築物件売却の一助となれば幸いです。

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