未登記物件の売却は、特有の課題や注意点があります。この記事では、未登記物件をスムーズに売却するための方法、登記の手続き、売買契約の注意点、そしてリスク回避策を詳しく解説します。
目次
未登記物件とは?売却前に知っておくべき基礎知識
未登記物件の種類と売却への影響
未登記物件が存在する理由
未登記物件の売買におけるリスク
未登記物件の売却方法:4つの選択肢
未登記のまま売却する
売主が登記してから売却する
解体して土地のみを売却する
不動産買取業者に相談する
未登記物件の登記手続き:表題登記と所有権保存登記
表題登記の手続き
所有権保存登記の手続き
登記費用の内訳と相場
売買契約時の注意点
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
契約解除の条件
重要事項説明
まとめ:未登記物件の売却を成功させるために
未登記物件とは?売却前に知っておくべき基礎知識
未登記物件の種類と売却への影響
未登記物件と一口に言っても、その状態は様々です。大きく分けて、建物自体が全く登記されていないケース、最初の新築時に必要な表題登記がされていないケース、そして、増築や改築を行った際に必要な変更登記がされていないケースなどが考えられます。これらの違いは、売却の難易度や必要な手続きに大きく影響するため、まずはご自身の物件がどのケースに当てはまるのかを正確に把握することが重要です。
例えば、表題登記がされていない場合は、建物の存在を公的に証明することができません。そのため、金融機関からの融資が受けにくくなり、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。一方、増改築による変更登記がされていない場合は、建物の現況と登記簿上の情報が一致しないため、これも買い手の不安を招く要因となります。また、相続登記がされていない場合は、誰が所有者であるかを明確にする必要があり、相続人全員の同意を得るなどの手続きが必要になります。
これらの状況を理解した上で、ご自身の物件に最適な売却方法を検討することが、未登記物件の売却を成功させるための第一歩となります。専門家への相談も視野に入れ、慎重に準備を進めていきましょう。
未登記物件が存在する理由
未登記物件が存在する背景には、様々な理由が考えられます。その中でも特に多いのが、現金で購入した場合です。住宅ローンを利用しない場合、金融機関からの登記を促す力が働かないため、登記をしないまま放置してしまうケースがあります。また、建物の築年数が古い場合、登記制度が現在ほど厳格でなかった時代に建てられたため、登記自体が行われていないこともあります。特に、昔ながらの地域や、都市部から離れた場所では、このようなケースが見受けられます。
さらに、登記費用を惜しむという理由も挙げられます。登記には登録免許税や司法書士への報酬など、一定の費用がかかります。特に、古い建物の場合、建物の価値が低いため、登記費用をかけることをためらってしまう方もいます。また、親から子へと相続された際に、相続登記を行わずにそのまま放置してしまうケースも少なくありません。相続人が複数いる場合、遺産分割協議が難航し、登記手続きが進まないこともあります。
これらの理由を理解することで、未登記物件の売却戦略を立てる際に、より適切な対応策を検討することができます。例えば、登記費用を売却価格に上乗せしたり、買い手に対して登記の必要性を丁寧に説明したりするなど、様々な工夫が考えられます。
未登記物件の売買におけるリスク
未登記物件の売買には、様々なリスクが伴います。まず、最も大きなリスクとして挙げられるのが、買い手が見つかりにくいという点です。未登記物件は、権利関係が不明確であるため、買い手は購入をためらってしまいます。特に、住宅ローンを利用して購入を検討している場合は、金融機関が融資を認めないことが多く、購入希望者を大きく制限してしまう可能性があります。 次に、所有権を奪われるリスクも存在します。未登記の状態では、第三者が建物を自分のものだと主張した場合、所有権を争うことが難しくなります。特に、長期間にわたって未登記の状態が続いている場合は、時効取得によって所有権を失ってしまう可能性もあります。
さらに、法律違反になるリスクも考慮しなければなりません。建築基準法や都市計画法などの法律に違反している場合、行政指導や罰則を受ける可能性があります。例えば、違法建築物である場合、改修命令が出されたり、最悪の場合、取り壊しを命じられることもあります。
これらのリスクを事前に把握し、対策を講じることが、未登記物件の売買を成功させるためには不可欠です。専門家への相談を通じて、リスクを最小限に抑えるための対策を講じましょう。
未登記物件の売却方法:4つの選択肢
未登記のまま売却する
未登記のまま売却する方法は、売主にとって最も手軽な選択肢と言えるでしょう。しかし、この方法を選択する場合、いくつかの注意点があります。まず、買い手が見つかりにくいということを覚悟しておく必要があります。未登記物件は、権利関係が不明確であるため、一般の買い手は購入をためらいます。そのため、価格を大幅に下げる必要がある場合や、売却までに時間がかかることを想定しておく必要があります。
また、未登記のまま売却する場合、売主は買い手に対して、未登記であることを明確に告知する義務があります。告知を怠った場合、後々トラブルに発展する可能性があります。契約書にも、未登記である旨を明記し、買い手の理解を得ておくことが重要です。さらに、専門の不動産業者や司法書士に相談し、売買契約書の内容や、告知義務についてアドバイスを受けることをお勧めします。
未登記のまま売却する方法を成功させるためには、価格設定、告知義務の履行、専門家への相談が重要なポイントとなります。これらの点をしっかりと押さえることで、未登記物件でもスムーズな売却を目指すことができます。
売主が登記してから売却する
売主が事前に登記を行うことは、未登記物件の売却において、最も確実で安全な方法と言えるでしょう。登記を行うことで、建物の権利関係が明確になり、買い手は安心して購入することができます。また、金融機関からの融資も受けやすくなるため、購入希望者を増やすことができます。
登記の手続きは、表題登記と所有権保存登記の2段階に分かれています。表題登記は、建物の物理的な情報を登記する手続きで、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。所有権保存登記は、建物の所有者を登記する手続きで、司法書士に依頼するのが一般的です。これらの手続きには、それぞれ費用と時間がかかりますが、スムーズな売却のためには必要不可欠な投資と言えるでしょう。
登記費用は、建物の種類や規模、地域によって異なりますが、数十万円程度かかるのが一般的です。また、手続きにかかる期間も、数週間から数ヶ月程度かかる場合があります。そのため、売却を検討し始めたら、早めに登記の手続きを開始することをお勧めします。
売主が事前に登記を行うことで、売却活動を有利に進めることができ、結果的に高い価格で売却できる可能性も高まります。
解体して土地のみを売却する
未登記建物を解体し、土地のみを売却するという選択肢は、未登記の問題を根本的に解決できるという点で、有効な手段となり得ます。建物が未登記である場合、その存在自体が売却のネックとなるため、思い切って解体することで、土地としての価値を最大限に引き出すことができます。
解体費用は、建物の構造や規模、地域によって異なりますが、一般的には数百万円程度かかるのが一般的です。解体費用を回収できるかどうかは、土地の評価額や売却価格によって大きく左右されます。そのため、解体前に、不動産業者や不動産鑑定士に相談し、土地の評価額を正確に把握しておくことが重要です。
土地のみを売却する場合、建物の解体費用がかかるというデメリットがありますが、未登記の問題を解消できるだけでなく、更地であるため、買い手は自由に建物を建てることができます。そのため、買い手が見つかりやすいというメリットもあります。
解体して土地のみを売却する方法は、未登記物件の売却において、有効な選択肢の一つですが、解体費用や土地の評価額などを総合的に考慮し、慎重に判断する必要があります。
不動産買取業者に相談する
不動産買取業者に依頼するという選択肢は、未登記物件をスムーズに、かつ迅速に売却したい場合に有効です。不動産買取業者は、一般の買い手とは異なり、未登記物件や訳あり物件の買取を専門としているため、通常の不動産売買では難しい物件でも、比較的容易に買い取ってくれる可能性があります。
買取業者の選び方としては、複数の業者に見積もりを依頼し、買取価格や対応などを比較検討することが重要です。また、実績や評判なども確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。買取価格は、一般の不動産売買に比べて安くなる傾向がありますが、早期に現金化できるというメリットがあります。
不動産買取業者に依頼する場合、仲介手数料はかかりませんが、買取価格が相場よりも低くなることを覚悟しておく必要があります。また、買取業者によっては、契約内容が不利な場合もあるため、契約前に必ず内容をしっかりと確認することが重要です。
不動産買取業者への相談は、未登記物件の売却において、有効な選択肢の一つですが、買取価格や契約内容などを慎重に検討し、ご自身の状況に合った業者を選ぶようにしましょう。よしだ法務グループのような専門業者に相談することも有効な手段です。
未登記物件の登記手続き:表題登記と所有権保存登記
表題登記の手続き
表題登記は、建物が物理的に存在することを公的に証明するための登記です。この登記を行うことで、初めて建物が法的に認知され、その後の所有権保存登記や売買が可能になります。表題登記は、建物の新築時や、未登記の建物について初めて登記を行う場合に必要となります。
表題登記に必要な書類は、一般的に、建物の建築確認済証、検査済証、建築会社の工事完了引渡証明書、建物の図面、申請者の住民票などです。これらの書類を揃え、法務局に申請します。申請は、原則として建物の所有者が行う必要がありますが、土地家屋調査士に依頼することも可能です。
土地家屋調査士に依頼する場合、書類の作成や申請手続きを代行してくれるため、手間を省くことができます。また、専門的な知識や経験を持っているため、スムーズに手続きを進めることができます。土地家屋調査士への報酬は、建物の種類や規模、地域によって異なりますが、数万円から数十万円程度かかるのが一般的です。
表題登記の手続きは、専門的な知識が必要となるため、土地家屋調査士への依頼を検討することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、確実かつスムーズに手続きを進めることができます。
所有権保存登記の手続き
所有権保存登記は、建物の所有者を公的に明らかにするための登記です。表題登記が完了した後に行う必要があり、この登記を行うことで、初めて建物の所有権を主張することができます。所有権保存登記は、建物を売却したり、住宅ローンを利用したりする際に必要となります。
所有権保存登記に必要な書類は、一般的に、表題登記完了証、申請者の住民票、印鑑証明書、実印、固定資産評価証明書などです。これらの書類を揃え、法務局に申請します。申請は、原則として建物の所有者が行う必要がありますが、司法書士に依頼することも可能です。
司法書士に依頼する場合、書類の作成や申請手続きを代行してくれるため、手間を省くことができます。また、専門的な知識や経験を持っているため、スムーズに手続きを進めることができます。司法書士への報酬は、建物の種類や規模、地域によって異なりますが、数万円から数十万円程度かかるのが一般的です。
所有権保存登記の手続きは、専門的な知識が必要となるため、司法書士への依頼を検討することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、確実かつスムーズに手続きを進めることができます。
登記費用の内訳と相場
未登記物件を登記する際には、様々な費用が発生します。主な費用としては、登録免許税、司法書士または土地家屋調査士への報酬、書類作成費用などが挙げられます。
登録免許税は、登記の種類や建物の評価額によって異なります。表題登記の場合、固定資産評価額に一定の税率をかけた金額が登録免許税となります。所有権保存登記の場合も同様です。税率は、軽減措置が適用される場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
司法書士または土地家屋調査士への報酬は、依頼する事務所や手続きの内容によって異なります。複数の事務所に見積もりを依頼し、費用を比較検討することをお勧めします。また、報酬の内訳を明確にしてもらい、不明な点があれば質問するようにしましょう。
書類作成費用は、自分で書類を作成する場合はほとんどかかりませんが、専門家に依頼する場合は、別途費用が発生します。費用を抑えるためには、できる範囲で自分で書類を作成することも検討してみましょう。
登記費用は、建物の種類や規模、地域によって異なりますが、数十万円程度かかるのが一般的です。費用を抑えるためには、複数の専門家に見積もりを依頼し、自分でできることは自分で行うなど、工夫することが重要です。
売買契約時の注意点
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
未登記物件の売買契約においては、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)に関する条項を明確に定めることが非常に重要です。契約不適合責任とは、売買契約の目的物が契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。未登記物件の場合、建物の情報が公的に登録されていないため、建物の状態や権利関係について、契約内容と異なる部分が生じる可能性があります。
例えば、雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下などの瑕疵(欠陥)が、契約後に発見された場合、売主は買主に対して、修繕費用を負担したり、損害賠償を支払ったりする責任を負うことになります。契約不適合責任の範囲や期間は、当事者間の合意によって自由に定めることができます。
未登記物件の売買契約においては、契約不適合責任の範囲を明確にするために、建物の状態を詳細に調査し、その結果を契約書に明記することが重要です。また、免責事項についても明確に定めることで、売主のリスクを軽減することができます。具体的な条項例としては、「売主は、本物件の未登記であることに起因する契約不適合責任は負わない」といったものが考えられます。
契約不適合責任に関する条項は、売主と買主の双方にとって、重要な意味を持つため、専門家(不動産業者や弁護士)に相談し、慎重に内容を検討することをお勧めします。
契約解除の条件
未登記物件の売買契約においては、契約解除の条件を明確に定めることが不可欠です。契約解除とは、売買契約を当事者の一方的な意思表示によって解消することを指します。未登記物件の場合、登記手続きが完了しない、あるいは完了までに長期間を要するなど、契約の履行が困難になる状況が想定されます。
例えば、売主が登記手続きを行うことを約束した場合、一定期間内に登記が完了しないことを解除条件とすることができます。また、買主が住宅ローンを利用して購入する場合、ローンの審査が通らないことを解除条件とすることも可能です。
契約解除の条件を定める際には、手付金の扱いについても明確にしておく必要があります。手付金は、契約の証拠として買主から売主に支払われる金銭ですが、契約解除の場合、その扱いが問題となります。一般的には、売主の都合で契約解除となった場合は、手付金を返還する必要がありますが、買主の都合で契約解除となった場合は、手付金は売主に没収されることになります。
契約解除の条件や手付金の扱いについては、当事者間の合意によって自由に定めることができますが、後々のトラブルを避けるため、専門家(不動産業者や弁護士)に相談し、慎重に内容を検討することをお勧めします。
重要事項説明
宅地建物取引業者は、不動産の売買契約を締結する前に、買主に対して重要事項説明を行う義務があります。重要事項説明とは、物件に関する重要な情報(権利関係、物件の状況、契約条件など)を、書面(重要事項説明書)を用いて説明することです。未登記物件の場合、未登記である旨を明確に説明する必要があります。
重要事項説明においては、未登記であることによって、買主がどのようなリスクを負う可能性があるのかを、具体的に説明する必要があります。例えば、住宅ローンが利用できない可能性があること、第三者から所有権を主張される可能性があること、将来的に再建築ができない可能性があることなどを説明する必要があります。
また、未登記であることによって、登記費用が余分にかかる可能性があることも説明する必要があります。さらに、買主に対して、未登記物件のリスクを理解した上で、購入を検討するよう促すことも重要です。
重要事項説明は、買主が不動産を購入するかどうかを判断する上で、非常に重要な情報源となります。宅地建物取引業者は、正確かつ丁寧に説明を行い、買主の理解を得るように努める必要があります。
まとめ:未登記物件の売却を成功させるために
未登記物件の売却は、通常の不動産売買に比べて、複雑で困難な場合があります。しかし、事前の準備と適切な対策を講じることで、売却を成功させることは十分に可能です。まず、ご自身の物件がどのような状態にあるのかを正確に把握し、専門家(土地家屋調査士、司法書士、不動産業者など)に相談することをお勧めします。
登記手続きを行う場合は、費用や期間などを考慮し、早めに準備を進めることが重要です。また、未登記のまま売却する場合は、買い手に対して未登記である旨を明確に告知し、契約不適合責任に関する条項を明確に定めることが重要です。
不動産買取業者に依頼する場合は、複数の業者に見積もりを依頼し、買取価格や対応などを比較検討することが重要です。いずれの方法を選択する場合でも、専門家のサポートを受けながら、慎重に手続きを進めることが、未登記物件の売却を成功させるための鍵となります。
この記事で解説した内容を参考に、スムーズな売却を目指しましょう。必要に応じて、よしだ法務グループのような専門家への相談も検討しましょう。彼らは未登記物件に関する豊富な経験と知識を持っており、あなたの状況に最適な解決策を提案してくれるはずです。

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