公開日:2024/08/21 更新日:2024/08/21

相続対象者が全員相続放棄したら?【2024.8.21版】

目次
 はじめに
 1. 相続放棄とは?
  1-1. 相続放棄の基本概念
  1-2. 相続放棄の動機
 2. 相続放棄の手続き
  2-1. 相続放棄の申請方法
  2-2. 必要書類
  2-3. 手続きの流れ
 3. 全員が相続放棄した場合の影響
  3-1. 遺産の行方
  3‐2. 負債の処理
  3-3. 相続人不在の影響
 4. 次順位の相続人
  4-1. 次順位の相続人とは?
  4-2. 次順位の相続人が放棄する理由
  4-3. 次順位の相続手続き
 5. 特別縁故者と相続財産管理人
  5-1. 特別縁故者とは?
  5-2. 相続財産管理人の役割
  5-3. 特別縁故者の請求手続き
 6. 相続放棄後の手続き
  6‐1. 放棄の証明
  6‐2. 債権者への通知
  6‐3. 財産の管理
  6‐4. 相続財産管理人の選任手続き
 7. 相続放棄のメリットとデメリット
  7‐1. メリット
  7‐2. デメリット
 8. 相続放棄に関するケーススタディ
  8‐1. ケース1:全員が相続放棄した場合の流れ
  8‐2. ケース2:特別縁故者による請求
 9. 相続放棄の注意点とアドバイス
  9‐1. 法的助言の重要性
  9‐2. 相続放棄の影響を理解する
  9‐3. 手続きのスケジュール管理
 まとめ

はじめに

日本における相続問題は、多くの人々にとって避けて通れない現実です。特に、相続対象者が全員相続を放棄する場合、その影響や手続きに関する知識は重要です。相続放棄とは、一見単純な選択に見えるかもしれませんが、その背後には複雑な法律や手続きが存在します。本コラムでは、「相続対象者が全員相続放棄した場合」のシナリオについて、具体的な手続きや影響、そしてその後の対応策について詳しく解説します。

1. 相続放棄とは?

相続放棄は、相続人が相続権を放棄し、相続財産に対する権利を一切主張しないことを意味します。この手続きは家庭裁判所に申請することで正式に行われます。相続放棄を選択する理由は多岐にわたります。例えば、被相続人が多額の負債を抱えている場合や、遺産分割に関するトラブルを避けるためなどです。

1-1. 相続放棄の基本概念

相続放棄は、相続人が相続財産に対する一切の権利を放棄する行為です。この放棄は、相続開始後に行われ、法律的には相続が発生したことを「知った日」から3か月以内に行わなければなりません。この期間を過ぎると、相続を承認したと見なされ、後から放棄することはできません。

1-2. 相続放棄の動機

相続放棄を選択する主な理由として、以下の点が挙げられます:

  • 負債の相続回避:被相続人が多額の負債を抱えていた場合、その負債を相続しないために放棄を選択します。
  • 遺産分割のトラブル回避:遺産分割に関する争いを避けるために相続放棄を選ぶことがあります。
  • 個人的理由:相続人が被相続人と疎遠であった場合や、遺産に対する興味がない場合なども考えられます。

2. 相続放棄の手続き

2-1. 相続放棄の申請方法

相続放棄の手続きは、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出することで始まります。この申請は、相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。この期間を「熟慮期間」と呼びます。この期間内に相続放棄の手続きを完了しないと、自動的に相続を承認したとみなされます。

2-2. 必要書類

相続放棄申述書に加えて、以下の書類が必要となります:

  • 被相続人の死亡届:市区町村役場で取得します。
  • 戸籍謄本:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
  • 相続人の戸籍謄本:相続人の身分を証明するための書類です。
  • 相続放棄の理由を示す書類:例えば、被相続人の負債の詳細などです。

2-3. 手続きの流れ

  1. 申述書の提出:家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。
  2. 面接:家庭裁判所での面接が行われ、相続放棄の意思確認がされます。
  3. 受理通知:相続放棄が受理されると、「相続放棄受理通知書」が送付されます。

3. 全員が相続放棄した場合の影響

3-1. 遺産の行方

全員が相続放棄をすると、相続財産はどうなるのでしょうか?一般的に、相続放棄がなされた財産は次の相続順位に従って他の親族に相続権が移ります。しかし、次順位の相続人も放棄した場合、最終的には国庫に帰属することになります。

3.2 負債の処理

相続財産には、資産だけでなく負債も含まれます。相続人全員が相続放棄した場合、負債も相続されません。したがって、債権者は被相続人の財産から返済を受けることができなくなり、最終的に債権は消滅します。これは、債権者にとっては大きな損失となりますが、相続人にとっては負担を回避する方法となります。

3-3. 相続人不在の影響

相続人が不在となると、被相続人の財産は「管理されない」状態になります。これにより、資産の劣化や債権者とのトラブルが発生する可能性があります。このため、家庭裁判所は相続財産管理人を選任し、財産の管理を行わせることが一般的です。

4. 次順位の相続人

4-1. 次順位の相続人とは?

次順位の相続人とは、第一順位の相続人(配偶者、子供)が全員相続放棄した場合に相続権を持つ親族を指します。例えば、被相続人の兄弟姉妹や甥姪が該当します。これらの次順位の相続人も相続放棄を選択することができ、その場合、さらに次の順位へと権利が移ります。

4-2. 次順位の相続人が放棄する理由

次順位の相続人も相続放棄を選択する理由は多岐にわたります。例えば、相続財産が負債である場合や、遺産分割に関するトラブルを避けるためなどです。また、次順位の相続人が相続放棄をすることで、国庫への帰属が早まることもあります。

4-3. 次順位の相続手続き

次順位の相続人が相続放棄を選択する場合、第一順位の相続人と同様の手続きを踏む必要があります。家庭裁判所への申請と、必要書類の提出が求められます。次順位の相続人が相続放棄を行うことで、最終的に相続財産が国庫に帰属する場合もあります。

5. 特別縁故者と相続財産管理人

5-1. 特別縁故者とは?

相続人が全員相続放棄した場合でも、被相続人と特別な関係にあった人(特別縁故者)が財産の分与を求めることができます。例えば、被相続人の世話をしていた友人や長年の隣人などです。この特別縁故者は、家庭裁判所に対して財産分与の請求を行うことができます。

5-2. 相続財産管理人の役割

相続人が全員相続放棄し、特別縁故者もいない場合、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。管理人は、被相続人の財産を管理し、債権者への対応や財産の処分を行います。最終的に、財産が国庫に帰属する際の手続きを担います。相続財産管理人は、被相続人の財産を保全し、債権者や特別縁故者に対する義務を果たします。

5‐3. 特別縁故者の請求手続き

特別縁故者が財産の分与を求める場合、家庭裁判所に対して請求を行います。この請求は、相続財産管理人が選任されてから3か月以内に行う必要があります。家庭裁判所は、特別縁故者の請求を審査し、適切な分与が行われるかどうかを判断します。特別縁故者の請求が認められると、その者は財産の一部または全部を受け取ることができます。

6. 相続放棄後の手続き

6‐1. 放棄の証明

相続放棄が認められた場合、家庭裁判所から「相続放棄受理証明書」が発行されます。この証明書は、後々の法的手続きや他の相続人とのトラブルを避けるために重要です。特に、第三者(例えば、被相続人の債権者)に対して相続放棄を証明する際に、この証明書が必要となります。

6‐2. 債権者への通知

相続放棄が行われたことを、被相続人の債権者に通知する必要があります。これにより、債権者は被相続人の財産から返済を受けることができなくなりますが、法的に適切な手続きを踏むことが求められます。債権者に対しては、相続放棄の事実を速やかに伝え、債務の処理についての協議を行うことが重要です。

6‐3. 財産の管理

相続放棄後、相続財産は誰が管理するのでしょうか?相続財産管理人が選任されるまでの間、被相続人の財産は法定相続人によって暫定的に管理される場合があります。その後、家庭裁判所によって相続財産管理人が正式に選任され、財産の管理や処分が行われます。

6‐4. 相続財産管理人の選任手続き

相続財産管理人の選任は家庭裁判所によって行われます。管理人は被相続人の財産を保全し、債権者に対する義務を履行します。管理人の主な業務は以下の通りです:

  • 財産の調査と管理
  • 債権者への通知と対応
  • 特別縁故者への財産分与
  • 財産の処分と最終的な国庫への帰属手続き

7. 相続放棄のメリットとデメリット

7‐1. メリット

相続放棄にはいくつかのメリットがあります:

  • 負債の相続回避:相続放棄によって、被相続人の負債を引き継がなくて済みます。
  • 遺産分割のトラブル回避:遺産分割に関する争いを避けることができます。
  • 心理的負担の軽減:相続に関する複雑な手続きを避け、心理的負担を軽減することができます。

7‐2. デメリット

一方で、相続放棄にはデメリットも存在します:

  • 相続権の喪失:資産も含めて相続権を放棄するため、財産を受け取ることができません。
  • 次順位の相続人への負担:次順位の相続人に対して、相続放棄の手続きや負担が移る可能性があります。
  • 債権者への影響:債権者にとっては、負債の返済が困難になるため、トラブルの原因となることがあります。

8. 相続放棄に関するケーススタディ

8‐1. ケース1:全員が相続放棄した場合の流れ

ある家族では、被相続人が多額の負債を抱えていました。第一順位の相続人(配偶者と子供たち)は全員相続放棄を選択しました。その後、次順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹)にも負債が多いことを理由に相続放棄を勧めました。最終的に、全ての相続人が相続放棄を行い、相続財産は国庫に帰属することになりました。このプロセスを通じて、相続人たちは負債の相続を避け、家庭裁判所の指示に従って相続財産管理人が選任され、財産の整理が行われました。

8‐2. ケース2:特別縁故者による請求

別のケースでは、被相続人の世話をしていた友人が特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を請求しました。相続人が全員相続放棄した後、家庭裁判所は特別縁故者の請求を認め、友人に対して財産の一部が分与されました。このケースでは、特別縁故者が財産分与を受けることで、被相続人の意志が尊重されました。

9. 相続放棄の注意点とアドバイス

9‐1. 法的助言の重要性

相続放棄は慎重に行うべき手続きであり、法的な助言を受けることが重要です。専門家の助言を仰ぐことで、適切な手続きを踏み、将来的なトラブルを避けることができます。相続放棄に関する法律は複雑であり、細かな手続きや書類の提出が求められるため、弁護士や司法書士のサポートを受けることが推奨されます。

9‐2. 相続放棄の影響を理解する

相続放棄を選択する前に、その影響を十分に理解することが必要です。相続権を放棄することで、資産も負債も受け取らないことになりますが、次順位の相続人や特別縁故者への影響を考慮することが重要です。また、相続放棄が家族や親族関係に与える影響も慎重に検討する必要があります。

9‐3. 手続きのスケジュール管理

相続放棄の手続きは期限が厳格に設定されており、3か月以内に手続きを完了する必要があります。手続きが遅れると、自動的に相続を承認したと見なされるため、スケジュールをしっかりと管理し、迅速に行動することが求められます。

まとめ

相続対象者が全員相続放棄を選択するケースは、決して珍しいことではありません。その理由や手続き、そしてその後の影響について理解しておくことは、円滑な相続手続きを進める上で非常に重要です。相続放棄の選択は慎重に行うべきであり、必要に応じて専門家の助言を仰ぐことが推奨されます。相続問題は複雑であり、正しい知識と適切な対応が求められるため、このコラムが皆様の参考となれば幸いです。相続放棄を考える際には、法的助言を受けつつ、自身の状況に最適な選択をすることが重要です。

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